2013年6月16日日曜日

源氏物語とカツラと中国語

源氏物語(与謝野晶子訳)を読んでいたら、桂の香りが出てくるところがありました。

「花散里」の巻です。
光源氏が須磨に行く前に女性に挨拶に行くシーンに、「大木の桂の葉のにおいが風に送られて来て、加茂の祭りのころが思われた」ってあるんです。
五月雨の晴れ間とあるので、新暦ではちょうど今ごろでしょうか。

私が桂の香りっていいなあと思ったのも葵祭(加茂の祭り)の時でした。
新暦の5月なので一月前ですけど。

一般的に桂が香るのは落葉の頃らしいですが、なんでこんな時期に香るんでしょう。
仕組みが気になります。
(桂について書く時はいつも「謎です」とか「気になります」で終わってますね……。)


そういえば中国語では「桂」っていうと、木犀とか肉桂(ニッキ、シナモン)のことを指すみたいです。
いずれも香りの強い植物なのが面白いです。月桂樹の葉っぱ(ローリエ)もいい香りですし。

じゃあ日本でいう「桂」は中国語で何ていうのか?と思い、調べてみたら「莲香树」というよく分からない言葉が出てきました。
「莲」は「蓮」(蓬かと思ったら微妙に違う)、「树」は「樹」みたいなので「蓮の香りの木」とか「蓮に似た、香る木」ということでしょうか。中国語は分からないので勘ですが。
でも香りも形もあんまり蓮っぽくはないような……。


ちなみに「桂」を「かつら」と読むのは国訓といって、漢字に(中国での意味とは関係なく)日本独自の読み方をあてたものだそうです。
どういう経緯で木犀やシナモンが「かつら」になったのか分かりませんけど、想像してみると漢字を輸入した当時の知識人の苦労がしのばれる気がします。
金木犀とかシナモンを知らなかったら想像つかないもんなあ。
そこそこ大きくなる木で、香りが強いっていうのがヒントだったんでしょうか。

日本語の「手紙」は中国では「トイレットペーパー」を指すというような、同じような言葉が全然違う意味を持つっていう話はちらほら聞きますが、植物の名前もけっこう違うんですね。
似た言語だからこそ、違う部分はややこしいのかもしれませんね。

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